”キモノを通じて人生に彩りと豊かさを”をテーマに、「楽(ラク)に」「楽しく」キモノを楽しめる情報をお届けする、あまのやWEB編集部 あまのです。
先日、店頭で懐かしい商品が再入荷されました。
一時、メーカーが販売をとりやめていて、残念に思っていた商品が再販されたとのことです。
その商品とは、こちら。
麻の葉文様が一面に描かれた、新生児用の肌着セット |
気が付けばもう10年も前。私が出産をしたときにプレゼントとしていただいたものです。当時、とても気に入っていて、毎日のように着せていたのを覚えています。
その後、麻の葉文様は、人気マンガ「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭太郎の妹、禰󠄀豆子(ねずこ)ちゃんの衣装としても人気となり、市松文様や鱗紋とあわせて、その文様の意味についても話題となりましたよね。
今回は、私がお世話になったこちらの肌着への感謝とお礼を込めて、改めて、麻の葉文様の意味などを中心にお伝えしたいと思います!
|麻の葉文様に込められた想い
「麻の葉文様」と呼ばれているので、もともと麻の葉をモチーフとした植物文様だと私はずっと思っていたのですが、実は、勘違い。
麻の葉文様は正六角形を基本とする「幾何学文様」の一つだそうです。
正六角形の対角線によってできる6つの正三角形の重心と、各頂点とを結び、際限なく続いていくこちらの形。まるで星のようにも見えますが、こちらの形が大麻の葉に似ているということから、この名がつけられたといわれています。
さかのぼること平安時代。麻の葉文様は仏教美術のデザインとして使われ始め、江戸時代には、歌舞伎などを通じて江戸の女の子たちにも流行したそうです。
その流行を作ったきっかけの一つが、私たちあまのやにもよくお越しくださる岩井半四郎さんの先代。
江戸時代後期に活躍された5代目岩井半四郎は、目千両とも呼ばれる通り目元の美しさが特徴的で、当時、大変な人気を博していました。その5代目が流行させた衣装が「半四郎鹿の子」。
麻の葉文様の鹿の子絞りだったそうで、江戸の女の人たちの間では着物の襟や袖、裾に麻柄を取り入れることが流行しました。そうした流行は、当時の浮世絵からも確認できます。
”三代歌川豊国「八百屋お七」国立国会図書館デジタルコレクション”
このように女性たちの間で流行していた麻の葉文様は、幼児の産着にも使わるようになっていきました。
麻は、日本では古くから布の材料として使われ、馴染みのある植物です。丈夫で強く、まっすぐスクスクと育ち、虫を寄せ付けない。
まだ子供の死亡率が高かった時代には、麻の葉文様の産着を着せることで、そうした麻の生命力の強さにあやかり、健やかに成長してくれることを願った、という親の気持ちはとてもよく理解できる気がします。そして、麻の葉文様には厄除けや魔除けの願いも込められるようになっていったそうです。
|いつの時代も変わらない親の想い
わが家で麻の葉の肌着が活躍していたのは、もう10年前。わが家ではもう麻の葉文様をお守りにしなくても、私があまり手をかけなくても、勝手に育っていってくれるようなお年頃になりました。
でも、この肌着を見ると、なんとなく、思い出すんです。
小さくて細くて、すぐ泣いて、はかなげに感じる我が子を、ちゃんと育てていけるのか元気に育ってくれるのか、プレッシャーや不安を感じていた日々のこと。
初めてのことばかりで、思い通りにならない我が子という存在に戸惑う新米ママさんだった頃の自分。
そして、そんな私にとっては、そんな願いが込められた麻の葉文様が、ちょっとしたお守りのような装いだったこと。
マンガ「鬼滅の刃」禰󠄀豆子ちゃんが生きていたのは、まだ鬼と出くわす時代。禰󠄀豆子ちゃんは今の我が子と同じくらいの年頃ですが、生と死が身近な当時であれば、ご両親が禰󠄀豆子ちゃんに祈りを込めて着せていたのかもしれないな、とも思ってみたりもするのです。
|出産祝いのプレゼントやギフトにもオススメ!
子供の死亡率が低くなった現代でも、初めての出産と育児には、不安だらけ。
そんなママたちのちょっとした気持ちのお守りになればと思い、私は友人の出産祝いにもよく使いました。
肌着であれば、何枚あってもそれなりに使えるということ、また、素材や縫製をみても新生児のデリケートな肌に触れても安心できるものであること、そして、気軽にプレゼントしやすい価格というのもポイントです。
店頭でも人気で、お買い上げくださったお客様の中には、「昔からの日本の伝統柄である麻の葉柄の肌着を探していた」ということで探されていたり、海外の方に贈るにあたって、こうした和柄を探されていた、という方もいらっしゃいました。
レトロモダンな麻の葉文様。
昭和以前生まれの方にとってはなんとなく懐かしく、でも、現代的な幾何学文様。
健やかな成長を願う「麻の葉文様」に願いを込めて、ご家庭用にはもちろん、知り合いの方への出産祝いや出産準備のためのギフトに、こちらの麻の葉文様の肌着をプレゼントしてみませんか♪
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