”きものを通じて人生に彩りと豊かさを”をテーマに、「楽(ラク)に」「楽しく」きものを楽しめる情報をお届けする、あまのやWEB編集部 あまのです。
コロナ禍で、おうち時間が増えましたよね。あまのやのお客様には、そんなおうち時間を利用して、着物の収納の見直しをされているお客様もいらっしゃるようです。
整理整頓をされているお客様との会話の中で、「たとう紙って、そのまま使い続けてもいいのかしら?」「どんなタイミングで変えるといいの?」そんなご質問をいただきました。
そうですよね、たとう紙、長く使っていると黄ばんで汚れてきます。そんな汚れを確認した際には、たとう紙の交換をおすすめしています。着物をキレイに保管するために使用していたたとう紙が、かえってシミやカビの原因になってしまうこともあるからです。
そこで、今回は「たとう紙」について、ご紹介します。
実は知っているようで、知らない「たとう紙」。着物の収納の要となるたとう紙の扱いをあらためることで、次に着物を着るときに、困らずに、着物を楽しんで着てもらえるようになると嬉しいです。
<今回の目次> 1.そもそも「たとう紙」って何? |
|1.そもそも「たとう紙」って何?
私たち、着物を扱っている人にとっては当たり前のように日常的に使っている「たとう紙」。でも、着物初心者さんには、聞きなれない言葉ですよね。
改めて確認していきましょう!
「たとう紙」とは、「着物を包むための紙」のことを指します。実は、漢字も読み方も地域によって異なり、「畳紙」「多当紙」「帖紙」「たとうし」「たとうがみ」「たたみがみ」などさまざまな表現があるようです。
また、関西では「たとう紙」とは呼ばず「文庫紙」(ぶんこし・ぶんこがみ)と呼ぶ地域もあるそうです。(ちなみに、文庫紙と呼ぶ地域では「たとう紙」は「衣装敷き」を指すそうです。最近では「たとう紙」が一般的になってきたそうですが、地域地域の文化で異なるのですね!)
|2.たとう紙の役割とは?
「たとう紙」の役割は、主に①防カビ②防チリ・防ホコリ③防シワです。
それぞれの役割を詳しくご紹介していきます。
①防カビ
着物の保管において気をつけたいトラブルが、カビ汚れです。
日本の気候の特性上、押入れやタンスに長い間しまっていたらカビがはえてしまっていたということは、よく起こります。“和紙でできた”「たとう紙」は、湿気を吸収してくれることから、着物を1枚1枚たとう紙で包むことでカビが生えにくくなると言われています。
(次項で詳しくご紹介したいと思いますが、和紙ではない素材でできた「たとう紙」には吸水性が低いものもありますのでご注意ください。)
②防チリ・防ホコリ
タンスやクローゼットにしまっていても、気づかぬうちに少しずつたまってしまうのがチリ・ホコリ汚れです。
たとう紙に包んでおくだけで着物に直接チリやホコリがたまるのを防ぐことができます。
③防シワ
着物をそのまま収納するといつの間にかにどこかに偏りが生じ、シワができているということがあります。シワがあると着物の着姿にも影響しますし、シワをとるのも大変です。次に着用するときのことを考えれば、できるだけつけないように保管したいものです。たとう紙にしまうことで、たとう紙が着物のずれを守ってくれて余計なシワができるのを防いでくれます。
以上のような役割をもつ「たとう紙」。
洋服の保管ではあまり紙に包んで収納するということがないので、違和感を感じる方もいるかもしれません。このような理由がありますので、着物の長期保管には、「たとう紙」を活用いただきたいと思います。
|3.たとう紙はどう選ぶのが良いの?
たとう紙は紙でできています。その紙はさまざまで和紙や洋紙などさまざまな素材の商品があります。それぞれの特徴を知って、ご自身の着物の保管スタイルに応じて、選んでみてくださいね!
◆和紙のたとう紙
楮(こうぞ)、三椏(みつまた)など木を原料にして作られた紙です。
和紙のたとう紙は、少々価格がはるものもありますが、吸水性には優れていますので長期保管をするのには安心です。また、品質も高く3年くらいもつものもあります。
着物の着用頻度があまり多くない方、振袖や礼服など長期保管をする着物をお持ちの方にはこうした和紙のたとう紙を活用し保管をすることがオススメです。
◆洋紙のたとう紙
植物や木材から繊維を抽出したパルプを原料として、さまざまな薬品を調合して作る紙です。
洋紙のたとう紙は安いのが特徴です。ただし吸水性はありません。たとう紙だけでなく除湿剤などを活用したほうがよい場合もあります。また、薬剤を使用して繊維の結合をしているため、和紙よりもたとう紙自体の劣化が早くなります。
日頃から着物をよくお召しになる方で、チリ・ホコリ、またシワ防ぎたいという目的のための活用であれば、こうした安価なたとう紙を活用するというのも良いかもしれません。
|4.たとう紙はいつ交換するの?
着物をよい状態で長く保管するためには、たとう紙も定期的に交換することをオススメしています。なぜならば、長年使用したたとう紙は、長年の湿気を吸収し吸水性が落ちてきてしまうからです。そうした状態の悪いたとう紙を使用し続けることで、逆に、カビやシミ汚れの原因になってしまうことがあるのです。
もしお使いのたとう紙が以下のようなポイントに該当するようであれば、たとう紙交換を検討されてみてください。
・たとう紙が変色している
・たとう紙にシミのような汚れがついている
・3年以上、たとう紙を使い続けている
・紐や窓部分が壊れている
お客様の中には「まだ一度も袖を通していない着物なのに、カビがついてしまって、、、」というご相談をお寄せくださる方もいらっしゃいます。そうした原因はたとう紙であることもありますので、定期的な交換をどうぞ検討してみてください。
また、着物の購入をされた際にシワ防止のために薄紙や段ボールが入っていることがありますが、あちらは洋紙でできていますので、長期保管をされる際には、外して保管されることをオススメしています。
|5.より良い状態で保管するために
着物を楽しんで着ていただくためには「いざ着よう!」と思ったときに着物がキレイな状態である、ということはとても大切なことだと個人的には思っています。
そのためには「たとう紙」も定期的に交換してみてくださいね!
「たとう紙」の寿命を伸ばすために、ほかにもこんな便利アイテムがあります。
着物をたとう紙ごと入れて付属でついている備長炭配合の「除湿シート」も一緒に入れて、ジッパーを閉める、ただそれだけで着物の天敵である「湿気」を寄せ付けない優れモノ「キモノの休息。」です。
個人的には、こちらでの保管がとてもカンタンで便利でラクなので、着物初心者の方にも着物好きの方にも皆さんにオススメしています。こちらの▶「一番カンタンな、キモノの収納方法って?」という記事もどうぞご覧になってみてくださいね!
また、「たとう紙」と一緒にこちらの「漢方敷」を一緒に収納することで、さらに除湿効果も高まります。こちらも天然成分だけを使った安心の商品で、わが家の着物収納BOX、洋服ダンス、冷蔵庫・・・いたるところに漢方敷がひかれています(笑)「漢方敷」は何度も使いまわしができますし、たとう紙交換の頻度も少なくて済みますので、長期的に考えるとお得だと思います。
こちらも私の推しの着物便利アイテムです。
次に着物を着るときのために安心して保管できるよう、簡単で便利な収納方法をご紹介していきたいと思っています。どうぞ楽しく、着物を着て楽しんでくださいね!
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